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クレーム電話の切り方|長電話・暴言・しつこい相手を終わらせる例文と対応手順

クレーム電話の切り方と対応手順 仕事

(法令・厚生労働省資料の最終確認:2026年10月)

クレーム電話の対応で、いちばん困るのが「電話の終わらせ方」ではないでしょうか。

「話が堂々巡りで、もう1時間以上たっている」

「こちらから切ったら、余計に怒らせそう」

「怒鳴られたり脅されたりして、どう切ればいいか分からない」

先に結論をまとめると、クレーム電話の切り方は、相手の状況によって次のように分けて考えます。

状況 切り方の基本
調査や確認が必要で、その場で解決できない 「確認して折り返す」と伝え、折り返しの日時と連絡先を決めて切る
こちらの説明は終わったが、同じ話が繰り返される 回答済みであることを確認し、終了を予告してから切る
長時間にわたって拘束される 対応できないことを伝えたあと、膠着状態が続いたら区切る(厚労省の例は30分程度。時間は社内で決める)
暴言・脅迫がある 記録・録音を行い、警告したうえで終了。危害のおそれがあれば安全確保を優先し、警察への通報も検討
何度もかけてくる 窓口を一本化し、会社として統一した回答で対応

この記事では、クレーム電話の基本の対応手順と、状況別の「電話の切り方」を、そのまま使える例文つきで解説します。

なお、法律の改正により、2026年10月1日から、すべての事業主に、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策として必要な雇用管理上の措置が義務づけられました。電話での長時間の拘束や暴言もカスハラにあたり得ます。勤務先に対応ルールがある場合は、そちらを優先してください。

出典:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)|厚生労働省

まず押さえたい:正当なクレームとカスハラの違い

すべてのクレームが「迷惑な電話」なわけではありません。厚生労働省のマニュアルでも、顧客からの苦情のすべてがカスタマーハラスメントに当たるわけではなく、社会通念上許容される範囲の申し入れは正当なものとされています。

カスハラにあたるかどうかは、要求の内容だけでなく、その要求を伝える手段・態様が社会通念上許容される範囲を超えているかで判断します。厚生労働省のマニュアルでは、たとえば次のような言動は、要求内容に妥当性があったとしても、カスハラに該当し得るとされています。

  • 長時間にわたって電話で拘束する
  • 大声や暴言、人格を否定する発言、脅迫
  • 理不尽な要望について、繰り返し電話してくる

出典:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)|厚生労働省

つまり、まずは正当なクレームとして誠実に聞き、そのうえで一線を越えた言動には毅然と対応する、という二段構えで考えるのが基本です。

クレーム電話の基本の対応手順

電話の切り方に悩む前に、まずは基本の流れを押さえておきましょう。最初の対応がうまくいけば、長引かずに終わることも多いです。

1. まずは一通り事情を確認し、要点をメモする

相手の話をさえぎらずに、一通り事情を確認します。「はい」「さようでございますか」と相づちを打ちながら、いつ・何が・どうなったのかをメモします。

聞き終えたら、「○月○日にご購入いただいた商品が、○○の状態だったということですね」と要点を復唱すると、相手は「ちゃんと聞いてもらえた」と感じ、気持ちが落ち着きやすくなります。

2. 謝る範囲を限定してお詫びする

事実がまだ分からない段階で、全面的に謝るのは避けます。厚生労働省のマニュアルでも、対象となる事実・事象を明確かつ限定的に謝罪することが勧められています。こちらの非を認める謝罪は、事実を確認してからにします。

  • ×「すべてこちらの責任です、申し訳ございません」
  • ○「ご不便をおかけしてしまい、申し訳ございません」
  • ○「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」

「ご不便」「ご不快」に対するお詫びであれば、原因がはっきりする前でも、誠意を伝えられます。

3. 事実を確認し、できること・できないことを伝える

必要な情報(購入日、商品名、注文番号など)を確認し、会社としてできる対応を伝えます。厚生労働省のマニュアルでも、対応できることとできないことをはっきりさせ、相手に過大な期待を抱かせないこと、極力議論は避けることが挙げられています。

4. 必要なら保留して上司に相談する

自分だけで判断できない場合は、「上長に確認いたしますので、少々お待ちいただけますか」と伝えて、必ず保留ボタンを押してから相談します。保留せずに話すと、社内の会話が相手に聞こえてトラブルのもとになります。

5. 会社のルールに従って録音・記録する

厚生労働省のマニュアルでは、電話対応の留意点として通話内容を録音できるようにしておくこと、カスハラが疑われる場合は録音・対応記録・時間の計測など、第三者が検証できる記録を残すことが挙げられています。

録音の方法や、相手に録音を伝えるかどうかは、勤務先の規程に従ってください。録音した内容は、個人情報として適切に取り扱います。

出典:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)|厚生労働省

電話を切るまでの判断の流れ

電話を切るまでの判断の流れを整理するイメージ

状況別の例文の前に、電話を終わらせるまでの判断を整理しておきます。

状況 流れ
通常のクレーム 一通り事情を確認 → その場で回答、または折り返しを約束して終了
回答済みなのに同じ話が続く ①回答済みであることを確認 → ②追加の回答はできないと伝える → ③終了を予告 → ④終了
暴言・威圧的な言動 ①やめてほしいと伝える → ②続けば終了を予告 → ③終了し、記録を残す
生命・身体への危害のおそれ 通話を続けるより安全確保を優先 → 緊急性があれば警察へ通報

ここからは、それぞれの場面で使える言い方を紹介します。以下の例文は、厚生労働省の方針を踏まえた実務上の言い方の一例です。 勤務先に決められた言い回しがある場合は、そちらを使ってください。

状況別:クレーム電話の切り方と例文

その場で解決できないとき:「確認して折り返す」で切る

確認して折り返すと伝えて電話を終えるイメージ

調査や確認が必要な内容を、その場で無理に解決しようとすると、電話が長引きます。いったん切って、こちらから折り返すのが基本です。厚生労働省のマニュアルでも、検討に時間がかかる場合は、一度電話を切っていただき、後日、会社としての対応方針を伝える対応が示されています。

例文

> 詳しくお調べしたうえで、改めてご連絡させていただきたいと思います。
> 恐れ入りますが、ご連絡先のお電話番号と、つながりやすいお時間帯を教えていただけますでしょうか。
> ○日の○時までに、担当の○○からご連絡いたします。本日はご連絡いただき、ありがとうございました。

ポイント

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  • 折り返しの期限を必ず伝える(「後ほど」はトラブルのもと)
  • 約束の時間までに結論が出ない場合も、一度連絡して途中経過を伝える
  • 最後に「ご連絡いただき、ありがとうございました」と添えると、相手も切りやすくなります

説明が終わったのに同じ話が続くとき:段階を踏んで切る

こちらの説明が一通り終わっても、相手が納得せず同じ主張を繰り返すことがあります。その場合は、次の段階を踏んで話に区切りをつけます。

例文

> (①回答済みの確認)○○様のお気持ちは十分に承りました。本件につきましては、先ほどご説明したとおりでございます。
> (②追加回答ができないことを伝える)当社としては、これ以上のご対応はいたしかねます。
> (③終了の予告)誠に申し訳ございませんが、本件のお電話はここで終わらせていただきます。
> (④終了)本日はお電話ありがとうございました。失礼いたします。

ポイント

  • 「できない」理由を何度も説明し直さない。説明が増えるほど、話は長引きます
  • 声のトーンは落ち着いて、丁寧に。突き放すような言い方は避けます
  • 何も言わずに切るのではなく、切ることを伝えてから受話器を置きます

長時間になったとき:社内の目安を超えたら切る

電話で長時間拘束することは、厚生労働省のマニュアルでも「拘束的な言動」としてカスハラの例に挙げられています。

厚生労働省のマニュアルでは、長時間の電話について、対応できない理由を説明し、応じられないことを明確に伝えたあと、膠着状態になってから一定時間(30分程度)を超える場合は電話を切る、という対応例が示されています。複数回かかってくる場合は、あらかじめ対応できる時間を伝えて、それ以上は対応しない、という例も挙げられています。

ただし、この30分・1時間といった時間はあくまで一例で、具体的な時間は業種・業態を踏まえて各企業で決めるものとされています。また、身の危険を感じたときは、決めた時間を待たずに警察への通報などを行うことが重要とされています。

出典:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)|厚生労働省

勤務先に基準がない場合は、上司と相談して「何分で区切るか」を決めておくと安心です。

例文(業務への支障を伝える場合)

> 恐れ入りますが、すでに長時間のお電話となっており、ほかの業務にも支障が出ております。
> 本件につきましては、責任者と相談のうえ、改めて当社からご連絡いたします。
> 本日はこれで失礼いたします。

例文(シンプルに区切る場合)

> すでに長時間のご対応となっておりますので、本件のお電話はここで終わらせていただきます。
> ご説明した内容から変更はございません。失礼いたします。

ポイント

  • 「業務に支障が出ている」は、事実であるときだけ使う。そうでなければシンプルな例文で十分です
  • 一人で抱えず、責任者に引き継ぐことも選択肢に

暴言・脅迫があるとき:記録を残し、警告して切る

暴言が続く電話に記録を残して対応するイメージ

大声で怒鳴る、人格を否定する、脅すといった言動には、毅然と対応します。厚生労働省のマニュアルでも、侮辱的な発言などについては、後で事実確認ができるよう録音し、程度がひどい場合は対応を打ち切る考え方が示されています。

例文(第1段階:やめてほしいと伝える)

> そのようなお言葉をおやめいただけますでしょうか。このままでは、お話を続けることが難しくなります。

例文(第2段階:終了を予告する)

> 恐れ入りますが、同様のお言葉が続く場合は、お電話を終了させていただきます。

例文(第3段階:終了する)

> 大変申し訳ございませんが、このままではご対応いたしかねますので、これで失礼いたします。

勤務先のルールで録音している場合や、録音を伝えることになっている場合は、第1段階か第2段階で「ここからの通話は記録のため録音させていただきます」と伝える方法もあります。

生命・身体への危害のおそれがあるとき

「殺す」「今から行く」など、生命や身体に危害が及ぶおそれのある発言があった場合は、通話を続けることより安全の確保を優先します。緊急性がある場合は、必要に応じてただちに警察へ通報します。

緊急性がない場合は、上司や社内の相談窓口に報告し、会社として、警察や弁護士への相談を含めた対応を判断します。厚生労働省のマニュアルでも、暴行・傷害・脅迫などの犯罪に該当する言動については、警察に通報することが重要とされています。

出典:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)|厚生労働省

対応のあとは、日時・相手の氏名や電話番号・発言内容(来訪の予告があればその内容も)・対応した内容を記録しておきます。警察や社内に相談するときに役立ちます。

何度もかけてくるとき:窓口を一本化し、会社として対応する

切ったあとも同じ内容で繰り返し電話がかかってくる場合は、個人で対応し続けず、会社として対応します。厚生労働省のマニュアルでは、連絡先をリスト化して通話内容を記録し、窓口を一本化したうえで、今後同様の問い合わせは受けないことを伝える、といった対応が示されています。

担当者が個人の判断で断るのではなく、上司や担当部署と回答方針をそろえ、記録を共有したうえで伝えるのがポイントです。

例文

> 本件につきましては、先ほど担当の○○からご説明したとおりで、当社としての回答は変わりません。
> 恐れ入りますが、今後、同じ内容のお問い合わせにはお応えいたしかねますので、ご了承ください。

やってはいけない電話の切り方

  • 何も言わずに切る(ガチャ切り):相手の怒りが増して、すぐにかけ直されます
  • その場しのぎの約束をする:「すぐに返金します」など、確認していないことを約束すると、あとで大きなトラブルになります
  • 相手を挑発する・言い負かそうとする:議論になると、かえって電話が長引きます
  • 社内ルールを無視して独断で打ち切る:会社の基準に沿って対応するほうが、自分を守ることにもつながります
  • 一人で抱え込む:長時間・悪質なクレームは、上司や担当部署に引き継ぎましょう。厚生労働省のマニュアルでも、悪質性が高い場合は単独で対応せず複数名で対応することが勧められています

なお、相手の勘違いが原因だった場合(電源が入っていなかったなど)は、「少し分かりにくい場所にあって申し訳ないのですが」とこちら側に理由を置いて伝えると、相手に恥をかかせず、話を早く終えやすくなります。

まとめ

クレーム電話の切り方で押さえておきたいのは、次の5点です。

  1. まずは一通り事情を確認し、謝る範囲を限定してお詫びする
  2. その場で解決できなければ、折り返しの期限を決めて切る
  3. 同じ話が続くときは、回答済みの確認 → 追加回答できない → 終了の予告 → 終了の順に区切る。長時間になる場合、厚労省の例では膠着状態から30分程度が目安(時間はあくまで一例で、社内で決める)
  4. 暴言が続くときは段階を踏んで警告し、記録を残して終了する。危害のおそれがあれば安全確保を優先し、必要に応じて警察へ
  5. 何度もかけてくる相手には、窓口を一本化し、会社として統一した回答で対応する

2026年10月からは、すべての事業主にカスハラ対策が義務づけられています。緊急時を除き、まずは勤務先の対応ルールを優先し、ルールがなければ上司と相談して「電話を切ってよい基準」を決めておくと、いざというときに迷わず対応できます。


参考

※ 本記事は、厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」を参照して作成しています。記事中の例文は、厚生労働省の例文を転載したものではなく、公式の方針を踏まえて実務上の言い方の一例として作成したものです。

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